ABOBORISM

思いついたら書き連ねる

ストレンジャー・ザン・パラダイスを十数年ぶりに見返した話し


f:id:aboborism:20250301223055j:image
ジム・ジャームッシュストレンジャー・ザン・パラダイスを久しぶりに観た。やっぱりこの映画、なんかいい。というか、何もないのにいい。

 

そもそもストーリーらしいストーリーがほとんどない。主人公のウィリーはニューヨークに住んでる適当な男で、ある日ハンガリーからいとこのエヴァが転がり込んでくる。最初は「3日だけだから」と渋々受け入れるけど、結局ちょっと気に入っちゃう。でもエヴァはまた別の親戚の家に移って、しばらくしてからウィリーとその親友エディが「なんか暇だしエヴァに会いに行くか」みたいなノリでクリーブランドまで車で会いに行く。で、その後今度は3人でフロリダに行く。そこでも特に何かが起こるわけじゃなくて、なんとなく過ごして、なんとなくバラバラになって終わる。

 

これだけ書くと本当に何もない。普通の映画なら成り立たない構成だ。「こういうことがあって、こういう事件が起きて、こうなりました!」みたいな流れがあるのが普通だけど、この映画にはそれがない。何かを解決するわけでもないし、成長するわけでもない。むしろみんな最初から最後まで同じ感じで、特に変わらない。でも、それがいいんだよなあ。

 

そんな何も無い英語なんだけどそれでも成り立ってるのは間違いなく登場人物のキャラクターと空気感のおかげだと思う。ジョン・ルーリー演じるウィリーは、適当で気取ってて、でもどこか憎めない。エヴァを最初は邪魔者扱いするくせに、いなくなるとなんとなく寂しそうにするし、そのどうでもいい感じが、妙にリアルでいい。あとジョン・ルーリーアヒル口が個人的に好きだ笑

 

エヴァを演じるエスター・バリントも最高にかわいい。派手な美人ではないけど、素朴でクールで、何考えてるかわからない感じがすごく魅力的。基本的に無表情で、ウィリーにもエディにも特に興味なさそうなのに、たまに見せるちょっとした表情の変化がすごくいい。ちなみにこれ見たあとインスタフォローした。おばさんやけどほんまに可愛い。

 

そして、ウィリーの親友エディ。この人も特に何かをするわけじゃないんだけど、なぜか目が離せない。ちょっとバカで、ノリだけで生きてる感じが最高。ウィリーと一緒に「なんとなく」で行動して、なんとなく失敗する。で、ふと気になってWikiを見たら、エディを演じたリチャード・エドソンって、元ソニック・ユースのドラマーだったらしい。初期の初期あたりみたいだけどね。でも映画の中ではただのダメな男。でもその適当さがはまってるわー。

 

映像もすごくシンプルで、モノクロで固定カメラ。シーンとシーンの間には必ず黒画面が入るし、カメラが動くこともほとんどない。普通の映画みたいに派手なカット割りとか演出とかもないから、一見するとめちゃくちゃ地味。でも、そのシンプルさが逆にクセになる。何気ないシーンなのに、ずっと見ていたくなる不思議な魅力がある。

 

結局、この映画って雰囲気を楽しむ映画なんじゃないかと思う。特別なことは何も起こらないし、登場人物も別にドラマチックな行動をするわけじゃない。でも、その何気なさがリアルで、かっこよくて、ずっと記憶に残る。観終わったあとに「何を観たんだろう?」ってなるんだけど、でもまた観たくなる。やっぱりジム・ジャームッシュ好きやわー。

他の映画も見返そうと思う。