幽霊たちを読んだ

ポール・オースターの「幽霊たち」を読んだ。オースターの名前は知っていたが、これまで読んだことはなく、短くて読みやすそうな本として選んだ。
物語は「まずはじめにブルーがいる。次にホワイトがいて、それからブラックがいて、そもそものはじまりの前にはブラウンがいる。」という一文から始まる。登場人物の名前がすべて色で表されていて、最初は混乱しそうだと思ったが、意外とそんなことはなく、すんなり読めた。
主人公のブルーは探偵で、彼の仕事はブラックという男を監視すること。ただし、気づけば監視期間は1年以上にわたり、ブラックはほぼ毎日同じようなルーティンで生活するため、劇的な事件が起こるわけではない。ただ監視し続けるだけの物語にも思えるが、その間のブルーの心理描写や憶測が面白く、意外と飽きずに読み進められた。
物語が進むにつれ、監視しているはずのブルー自身が、ブラックを観察することで逆に自分自身を見つめるようになっていく。探偵と対象者の関係が曖昧になり、どちらがどちらを見ているのか、あるいはブルーは本当にブラックを監視しているのか、次第にわからなくなってくる。ミステリーのようでいて哲学的でもあり、なんとも不思議な感覚になった。
これは何だったのか、はっきりしないのにとても面白く一気に読み終わった。全体的に奇妙な、かつ淡々とした世界観だが、どこかオシャレな質感を持つ小説だった。ストーリーの進み方はシンプルなのに、不思議な余韻が残る。独特の文体と静かな緊張感がとても好みだった。
この「幽霊たち」はニューヨーク三部作と呼ばれている中の1冊で(物語に繋がりはないみたい)その他「ガラスの街(シティオブグラス)」、「鍵のかかった部屋」がある。
実はこれ書く前にガラスの街も読んだので鍵のかかった部屋を早く読みたい⋯
